大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(う)327号 判決

被告人 平沢信義

〔抄 録〕

所論は要するに、被告人は田中三陽が麻薬を密売するにつきこれを幇助したことはなく、また幇助する意思もなかつたと主張する。

しかしながら、横浜市中区黄金町界隈では被告人が幹部をしている山田一家のほか数組の博徒一家がそれぞれの看板を掲げて麻薬を密売しており、そのいずれの博徒にも属しない者が同界隈で麻薬を密売しようとすると忽ち右博徒らから激しい妨害を受け、麻薬の密売が事実上困難となる状態であつたのであるが、被告人は田中三陽より博徒らからの妨害を防ぐために山田一家の看板を掲げて同界隈で麻薬の密売をしたいとの申出を受け、その代償としていわゆる看板料名義で毎取引日につき五、〇〇〇円ないし七、〇〇〇円宛を被告人に支払うことを条件に田中に対し右申出を許容したのであり、従つて田中は、山田一家の看板を掲げて麻薬を密売するため、山田一家からは勿論他のどの博徒からも妨害を受けることなく安全に取引ができるわけであつて、被告人の右看板使用の許容が田中の麻薬密売の犯行を容易ならしめるものとして同犯行の幇助に該当し、被告人においても同犯行を幇助する意思を有していたものであることは明らかなところである。論旨は理由がない。

(長谷川 関 松岡)

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